徒然なる日々を送るソフトウェアデベロッパーの記録(2)

技術上思ったことや感じたことを気ままに記録していくブログです。さくらから移設しました。

「Python で学ぶ流体力学の数値計算法」を読んで

本の構成は大きく、前半と後半に分かれます。

前半では一歩一歩流体の数値計算に必要な物理的考察および python プログラムを記述し、理解を深めていきます。
後半では最近の研究を俯瞰した読み物になっています。

流体計算は「こういう条件下ではこのシミュレーションを使う」というようないわば対処法的な説明の本が多い印象を持っていますが、物理的な考察と計算時の意味を紐解いている本書はユニークだと感じました。

実務では OpenFOAM 等のライブラリを使うことになるわけですが、「なぜその方法を使うのか」「なぜその方法で上手く行くのか」を追求することの重要性を気づかせてくれます。

個人的には多元差分方程式の左辺を固有ベクトルに分解して解く、というのが目から鱗でした。
(その道では当たり前なのかもしれませんが)
また敢えて演算子に高次成分を追加し、双曲線型方程式を因数分解して次元を下げる方法も興味深かったです。

願わくば後半についても Web 紹介でもよいので実装例へのリンクが示されているとよかったなと思います。
(文献リストはありますが。)

ゆっくり読んでいたら読了するのに 2年もかかってしまった。